リフォームでの注意点
リフォームのご質問をいただいたので、こちらでご返答しますね。(^^)
「私は中古住宅を買い、リフォームして住みたいと考えています。中古物件を探す上で、注意するべき点があれば、ご教授頂ければ幸いです。 外観や広さが気に入れば、耐震アップ、寒さ対策、間取りの変更は、お金さえかければ、上手くいくものでしょうか?
【上田の回答】
現状、空家・中古住宅が増えており、国は空家を活用する方向での施策に取り組んでいます。
それは良いことだと思いますが、中古住宅・空家には、いろいろな問題がありますから、それを知って進むことが大切と、私は思います。
問題点
1、フルリフォームはかなりお金がかかるのですが、「リフォームは多分、300万円もあれば出来るだろう」とか「500万~600万円もかければ、かなり豪華にできるだろう」などと思っている施主様が少なくありません。
もちろん、畳を敷き変えるだけとか、壁のクロスを張り替えるだけ、などなら、200~300万円くらいの金額できます。しかし、それくらいのリフォームで済む中古住宅というのは、だいたい築15年迄の家であり、そもそもリフォームを必要としない家です。「床や壁がちょっとくたびれているので、そういうったところだけ変更すれば良い」というような家です。
こういった表面的なリフォームを、私は「表面リフォーム」と呼んでおり、多くの施主様が考えている建築費は、表面リフォームのものです。
しかし、多くの施主様は、「まずは、水廻り設備(キッチン・洗面・トイレ・フロ)を変えたい」とおっしゃいます。この場合、たいてい、それだけで500万~700万円ほどかかるのが普通です。
そして、さらには、「水廻りだけでなく、住みやすくなるように間取りも変えて、そろそろ寿命がきている屋根・外壁も変えて、暖かくなるように断熱材も変えたい」とおっしゃるのが普通です。
こうなれば、1500万~2000万円かかるのが普通です。
大手ハウスメーカーや技術高い工務店の、新築なら、最低でも2000~2500万円かかりますので、中古住宅をフルリフォームすれば、新築の建築費に近くなるのです。
ですから、中古住宅の事情を知った施主様は、「なんだ、それだったら、新築にしたほうがマシ」となります。
そして、500万円を追加して、大手HMや技術高い工務店の新築にする施主様もいえれば、ローコストメーカーに依頼して、1500~2000万円で新築をする施主もいます。
「1500~2000万円かけて、中古住宅をフルリフォームしよう」という施主さまは少ないです。
こういう現状があるから、空き家がどんどんと増えているのです。
ですから、こういう現状下、中古住宅をフルリフォームするのは、以下の条件に当てはまる人です。
1、売り土地がない地域。人気がある特定の地域に住みたい人は、売り土地自体がなかなかありません。私も以前、「鎌倉に住みたい」という施主様から依頼を請けたことがあります。人気の高い地域ですから、施主様は数年探し求めましたが、売り土地がなく、結局、中古住宅を購入し、新築並みの建築費でフルリフォームなさいました。
2、構造・間取りがしっかりとしており、フルリフォームしてもそれほどお金がかからない中古住宅を探すこと。
たとえば、構造材である基礎がもろくなっているとか、土台や柱や梁が白アリにやられているとか、雨漏りで腐っているなどすれば、構造を変えるリフォームをしなければなりません。この場合、新築並み、場合によっては、新築より高価になってしまいますので、構造がちゃんとしているかを見抜く必要があります。
また、屋根や外壁や断熱材がかなりくたびれているとか、元々安物を使っているなどすれば、交換する必要があり、そのリフォームに、いくらかかるのかを見抜く必要があります。
また、間取りを変えるためには、たいていは、柱を抜く必要がありますが、まず、抜けない柱・壁というのがあり、この場合、間取りを変えることができません。この意味から、「良い間取りにするため、柱・壁を抜ける家」であることを見抜く必要があります。
上記3つを見抜き、「屋根と外壁はまだまだ大丈夫。ただ断熱材が安物だし、水回りは汚くて使えないから全て交換。間取り変更のため、これらの柱を抜き、壁を壊したいが、たまたま可能だ。フルリフォーム代はだいたい1500万円くらいになるだろうから、いける」とか、
「水回りはまだまだ使える。少し気持ち悪いものの、お金がないから、水廻りをしなければ、1000万円で済む」などとなり、
「この中古住宅+フルリフォーム計画は、いける」と見抜くことができた場合のみ、中古フルリフォームは良いものになります。
通常、そこまで見抜ける人は、ある一部の建築士や、ある一部の工務店ベテラン社員だけでしょう。素人でそこまで見抜ける人はいないでしょうし、もしいたとしたら、その人は建築業界で、私と同じような仕事ができて、私と同じくらいの年収を稼げるでしょう。
いずれにしても、リフォームは高くつきますし、安くできるとしたら、それは、フルリフォームではなく、たいていは表面リフォームであるということを知っていただければと思います。
もし本気で、比較的安価でのフルリフォームを目指すなら、上記条件に合う物件を見つけ出すことが、第一歩になります。